私たちは、米国HAE患者会の協力を得て、107名の患者さんにHAEの発作についてアンケートを実施しました。
その結果、次のことが分かりました1)。
<アンケート概要>
目的
本研究の目的は、遺伝性血管性浮腫(HAE)患者の行動を調査し、オンデマンド治療の意思決定に影響を与える主要な要因を評価することです。
特に、患者が治療を遅らせる理由や治療を行わない理由を明らかにし、HAE発作の管理における意思決定過程を理解することを目指しています。
調査方法
参加者: HAEA(米国遺伝性血管性浮腫患者会)によって募集された、HAEと診断された成人患者107名が対象。
調査内容: 2022年9月6日から10月19日までの期間に、オンラインで47の質問からなる調査を実施。質問は選択肢からの回答、重要度の順位付け、リッカート尺度による同意度評価を含む。
データ分析: Microsoft Excelを用いて統計分析を行い、連続変数は平均、中央値、範囲で、カテゴリ変数は頻度分布とパーセンテージで報告。
リミテーション
自己報告の信頼性:調査は匿名で実施されたため、自己報告データの検証は不可能である。
サンプリングバイアス: オンラインでの調査実施により、英語を話さない人やインターネットへのアクセスが限られる人々には届きにくい可能性がある。
代表性の限界: 調査参加者の大多数が女性であり、これが全体のHAE患者の性別比と異なる可能性がある。また、特定の患者層(教育レベルが高いなど)に偏っている可能性もある。
HAE治療ガイドライン2,3)では、オンデマンド治療4)薬の使用がHAE治療基本となっていますが、注射薬の携行と外出先での使用が難しい患者さんもいます。このような患者さんは発作が起きた時、ただちに治療すれば症状の悪化を止められる可能性があるにもかかわらず、適切な治療を行う機会を逸していることになります。今回のアンケート結果は、新たなオンデマンド治療薬の必要性を裏づけるものです。投与後、常に携帯可能かつ周囲の環境に左右されず投与できるオンデマンド治療薬が、HAE発作の治療のあり方を変えることになると考えられています。
私たちカルビスタは、HAEの研究と疾患啓発を続けることが大切だと考えています。
カルビスタはHAEの治療薬開発だけでなく、ペイシェント・ジャーニー(患者さんが病気を認知し、医療機関で診断され、治療を進めていくプロセス)を明らかにすることも重要な役割と捉えています。そこで、米国のHAE患者会(HAEA)と協力して、HAE患者さんの発作の実態や現在のオンデマンド治療薬の使用状況を知るために、107名の患者さんを対象にアンケートを実施しました。調査結果はMind The HAE Attack (ウェブサイト)に掲載しています。
HAEは希少な疾患であり、C1インヒビターと呼ばれるタンパク質の欠損(タイプⅠ)または機能不全(タイプⅡ)が原因です。C1インヒビターが不足するとカリクレイン-キニン系(KKS)と血漿カリクレインという酵素の活性化を制御できなくなります。これによってHAE患者さんは身体のさまざまな部位に腫れが生じる発作を経験します。発作の発生は予測不能であり、痛みを伴い、ときには生命を脅かす可能性があります。
HAE症状の現れ方は人によって異なり、手足、性器、胃腸、顔などさまざまな部位に腫れが生じます。重篤な症例では、気道が腫れて呼吸困難に陥り、気管切開のような緊急治療を必要とする場合もあります。
精神的なストレスや身体的外傷が発作の引き金になることもある一方、はっきりした引き金がないのに腫れが生じる場合もあります。また、予防治療を受けていても、発作が起きることがあります。HAE患者さんは発作に対する強い不安を抱えており、これが生活の質を低下させています。
HAE患者さんが発作を起こした時は、できるだけ早くオンデマンド治療4)を行うことが大切です。
オンデマンド治療4)は通常、浮腫発作を引き起こす原因となる病態生理メカニズムに治療介入する方法であり、具体的には欠損しているC1インヒビターを補充する方法や、カリクレイン-キニン系(KKS)が活性化することを抑制する方法などがあります。
1)参考出典: Betschel et al. Allergy, Asthma & Clinical Immunology 2024 Jul 25;20(1):43.
The complexities of decision-making associated with on-demand treatment of hereditary angioedema (HAE) attacks
2)参考出典:堀内孝彦, 他. 補体. 2023; 60(2):103-131.
遺伝性⾎管性浮腫(Hereditary angioedema: HAE)診療ガイドライン 改訂2023 年版
3)参考出典:Maurer M, et al. Allergy. 2022; 77(7):1961-1990.
The international WAO/EAACI guideline for the management of hereditary angioedema—The 2021 revision and update
4)オンデマンド治療=HAE急性発作時の治療
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